まったくもって自分のミスで、貴重な1台を壊してしまった。
アクセル操作を誤り、横を向いてコントロールを失ったSZは、
ガードレールに正面から激突。分厚いFRPのボディーパネルは砕けて四散した。瞬間ノーズの全長は3割減少し、
エンジンルームの鼻先にあるバッテリーも中身をぶちまけながら吹き飛んだ。跳ね返ってからゆっくりと停止したSZは、
ウィンカーの点滅も弱々しくなり、やがて沈黙してしまった。
しかしアルファロメオは強い。頑強である。
キャビンやリアには寸分の歪みもなく、損傷は完全にフロント部のみ。
このような事故では車体のどこかに歪みが生じて、
例えばドアの隙間が広くなったりするものなのだ。
サポート不足と評価の低いシートは、
それに反してしっかりとドライバーの重量と加速度を受け止め、
サポート部も取付け部もダメージを受けた。
おかげで自分は左肘の軽い打撲で済んだ。
衝突時、ノーズがあれほど変形したのにも関わらず、エンジンはほとんど無傷。
遠くから駐車場まで足を運んで見てくれた修理工場のマイスターは
「必ず直る」を何度も何度も繰り返し、しょぼくれた当事者を大いに勇気づけてくれたのである。
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